法令 安全衛生情報センター:ホームへ
ホーム > 法令・通達(検索) > 法令・通達

別添(平成13年4月25日 基発第401号の2により廃止)
ダイオキシン類による健康障害防止のための対策要綱

1 趣旨
ダイオキシン類については、廃棄物焼却施設の土壌等から検出されたことを契機に、廃棄物焼却施設に起因するダイオキシン類による環境汚染や労働者の健康への影響が懸念されている。
労働省の実施した調査結果によると、廃棄物焼却施設で作業する労働者は、作業環境の状況等によりダイオキシン類のばく露を受ける危険性があることが明らかとなった。
また、平成11年3月30日の「ダイオキシン対策関係閣僚会議」で策定された「ダイオキシン対策推進基本指針」では、「労働者のばく露防止を図るため、労働衛生管理体制の整備並びに、作業環境の測定、作業環境の改善・適切な保護具の使用等の対策を推進する」こと及び「労働者の健康状況及び労働環境の実態を把握する」こととされている。
このような状況から、廃棄物焼却施設等に勤務する労働者がダイオキシン類にばく露することを防止するため、事業者が講ずべき措置について、本対策要綱を策定したものである。
なお、本対策要綱に定める事項については、原則的には対象作業を労働者に行わせる事業者が、必要に応じ施設管理者と協議及び連携して実施するものであるが、3の(1)、5及び7の事項については、施設管理者が主体となって実施するものであること。

2 対象作業
本対策要綱の対象となる作業は、一般廃棄物焼却施設、産業廃棄物焼却施設等(以下「焼却施設等」という。)において行われる次の作業(以下「焼却施設等作業」という。)であること。
(1) 焼却炉、集じん機等の内部で行う灰出し、設備の点検、保守等の作業
(2) 焼却炉、集じん機等の外部で行う次の作業
焼却灰等の固化、運搬等の作業で焼却灰等を取り扱う作業
(1)の作業の支援、監視等の作業
焼却炉、集じん機その他の装置の運転、点検、保守等及び清掃の作業

3 ダイオキシン類対策の推進体制の整備
(1) 施設管理者の実施事項
ダイオキシン類対策委員会
焼却施設等を管理する事業者は、産業医、衛生管理者・現場責任者等で構成する「ダイオキシン類対策委員会」を設置し、本対策要綱に定める措置等を盛り込んだ「ダイオキシン類へのばく露防止推進計画」(以下「推進計画」という。)及びその具体的な推進方法を策定すること。
委託先事業者、関係請負人等との協議組織
焼却施設等を管理する事業者は、焼却施設等作業の全部又は一部を他に委託し、又は請負人に請け負わせている揚合には、全ての関係事業者が参加する協議組織を設置し、当該作業を行う労働者のダイオキシン類へのばく露防止を図るため推進計画等を協議すること。
対策担当部門及び対策責任者
焼却施設等を管理する事業者は・労衡者のダイオキシン類のばく露防止対策を講じるに当たり、本対策要綱に定める措置を適切に行うため、ダイオキシン類対策の対策担当部門及び対策責任者を定め、次の職務を行わせること。
(イ) ダイオキシン類対策委員会の運営
(ロ) 3の(1)のロの協議組織の運営
(ハ) 推進計画の委託先事業者、関係請負人等への周知
(ニ) その他推進計画の実施に関する事項
(2) 受託事業者又は関係請負人の実施事項
焼却施設等作業の全部又は一部を受託し、又は請け負っている事業者は、ダイオキシン類対策の実施責任者を定め、推進計画を踏まえた対策を実施させること。

4 労働衛生教育
焼却施設等作業に従事させる労働者に対して、次の事項について労働衛生教育を行うこと。
(1) ダイオキシン類の性状、有害性等に関すること。
(2) ダイオキシン類のばく露を低減させるための措置に関すること。
(3) 作業手順に関すること。
(4) 発散源を密閉する設備、作業を自動化又は遠隔操作する設備、局所排気装置等についての作業開始時の点検に関すること。
(5) 呼吸用保護具等の種類、性能、使用方法及び保守管理に関すること。
(6) 事故時等における措置に関すること。

5 作業環境の測定及びその結果の評価に基づくダイオキシン類のばく露を低減するための措置
常時焼却施設等作業(2の(1)の作業を除く。)が行われる作業場については、別紙の方法により、作業環境中のダイオキシン類の濃度測定及び測定結果の評価を行い、その記録を30年間保存すること。また、評価の結果、第2管理区分又は第3管理区分となった作業場においては、次に掲げる方法等により、焼却灰等の粉じんの発生やその発散の防止対策を行うこと。
(1) 燃焼工程、作業工程の改善
(2) 発散源の密閉化
(3) 作業の自動化や遠隔操作方式の導入
(4) 局所排気装置及び除じん装置の設置
(5) 作業場の湿潤化

6 保護具等の使用
焼却施設等作業における労働者のダイオキシン類へのばく露の低減を図るため、次の作業について各々に掲げる措置を講じること。
(1) 2の(1)の作業
労働者にエアラインマスク、ホースマスク又はこれらと同等以上の性能を有する呼吸用保護具及び不浸透性の保護衣、保護手袋、保護眼鏡等を使用させること。
(2) 2の(2)のイ及びロの作業
労働者に型式検定に合格した防じんマスク等の有効な呼吸用保護具及び粉じんの付着しにくい作業衣、保護手袋、保護眼鏡等を使用させること。
(3) 2の(2)のハの作業
5の措置を講じてもなお第2管理区分又は第3管理区分である作業場で作業を行わせる場合には、6の(2)の措置を講じること。なお、常時作業が行われない作業場で臨時にこれらの作業を行わせる揚含にあっても、6の(2)の措置を講じること。

7 休憩場所の確保
(1) 休憩場所の確保
焼却施設等作業に労働者を従事させる場合は、焼却施設等作業を行う作業場以外の場所に休憩場所を設けること。ただし、焼却施設等作業を行う作業場以外の場所に休憩場所を設けることが困難な場合は、第1管理区分の場所に設けること。
(2) 休憩揚所における措置
労働者の作業衣等に付着した焼却灰等により、休憩場所が汚染されないように次の措置を講じること。
窓等のない密閉された構造の休憩場所の入口には、エアシャワーを設け、かつ、水を流し、又は十分湿らせたマットを置く等労働者の足部に付着した焼却灰等を除去するための設備等を設けること。
密閉されていない構造の休憩場所の入口には、作業衣等に付着した灰を除去するための電気掃除機等を備え、かつ、水を流し、又は十分湿らせたマットを置く等労働者の足部に付着した焼却灰等を除去するための設備等を設けること。
床の清掃を毎日1回以上行うこと。
(3) 休憩場所以外の場所における措置
事務室等で焼却施設等作業に従事する労働者が出入りする場所については、労働者の作業衣等に付着した焼却灰等により当該場所が汚染されないような措置を講じること。

8 作業衣等の保管等
ダイオキシン類の付着した焼却灰等で汚染された作業衣等は、二次発じんの原因となることから、事業場外への持出しを禁止するとともに、当該作業衣等はそれ以外の衣類等から隔離して保管させ、かつ、速やかに作業衣等の汚染を除去させるための措置を講じること。

9 喫煙等の禁止
焼却施設等作業が行われる作業揚については、労働者が喫煙し、又は飲食することを禁止すること。

10 作業記録
焼却施設等作業については、従事労働者名、従事作業名・従事期間等を記録するとともに、その記録を30年間保存すること。

11 女性への就業上の配慮
母性保護の観点から、女性については2の(1)の作業に就かせないよう就業上の配慮を行うこと。