安全衛生情報センター
労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第89号。以下「改正省令」という。) 及び労働安全衛生規則第四十四条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準等の一部を改正する告 示(令和8年厚生労働省告示第204号。以下「改正告示」という。)が令和8年4月28日に公布され、令和9年 4月1日から施行することとされたところであるが、その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりで あるので、その施行に遺漏なきを期されたい。
第1 改正の趣旨 改正省令及び改正告示は、長時間労働と慢性腎臓病発症リスク等業務との関係や、血清クレアチニン検 査で既存項目では把握できない腎機能低下者を把握できること等を踏まえ、労働安全衛生法(昭和47年法 律第57号)に基づく一般健康診断のうち、雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断、 海外派遣労働者の健康診断に血清クレアチニン検査を追加すること等から、労働安全衛生規則(昭和47年 労働省令第32号。以下「安衛則」という。)、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号。以下「労基 則」という。)、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)及び特定化 学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)等及び関係告示について所要の 改正を行ったものである。 第2 改正省令の要点 1 血清クレアチニン検査の追加(安衛則第43条から第45条の2まで関係) 雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断及び海外派遣労働者の健康診断に血清 クレアチニン検査を追加するものであること。あわせて、本項目については、厚生労働大臣が定める基 準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができること。 2 喀痰検査の削除(安衛則第44条から第45条の2まで関係) 定期健康診断、特定業務従事者の健康診断及び海外派遣労働者の健康診断において義務づけられてい る喀痰検査を廃止するものであること。 3 肝機能検査の酵素名の変更(安衛則第43条、有機則別表並びに特化則別表第3及び別表第4関係) 安衛則第43条第1項第7号、有機則別表(2)下段、特化則別表第3の(17)、(24)、(32)から(34)、(36)、 (37)及び(42)から(45)の各下段並びに別表第4の(13)、(18)、(25)、(33)から(36)の各下段の肝機能 検査の酵素名について、最新の国際臨床化学連合(International Federation of Clinical Chemist ry and Laboratory Medicine,IFCC)勧告に示される名称に変更するものであること。 4 健康診断結果報告、健康診断個人票及び健康管理手帳の様式変更(安衛則第52条、様式第5号、様式第 8号及び様式第9号並びに有機則様式第3号関係) 第2の1及び2の改正に伴い、安衛則第52条の健康診断結果報告及び安衛則様式第5号の健康診断個人票 の記載事項の対象に血清クレアチニン検査を追加し、喀痰検査を削除するものであること。 また、第2の3の改正に伴い、安衛則様式第5号、様式第8号(9及び11)及び様式第9号(9及び11)並びに 有機則様式第3号の肝機能検査の酵素名の変更を行うものであること。 5 高度プロフェッショナル制度に係る「臨時の健康診断」の項目の追加(労基則第34条の2関係) 第2の1の改正に伴い、労基則第34条の2第13項第1号に定める高度プロフェッショナル制度における臨 時の健康診断の項目に血清クレアチニン検査を追加するものであること。 6 施行期日(改正省令附則第1条関係) 改正省令は、令和9年4月1日から施行すること。 7 経過措置(改正省令附則第3条から第6条関係) ア 改正前の取り扱いと同様に、事業者は、当分の間、改正後の安衛則第52条第1項に規定する方法に よる同項の報告に代えて、同項各号に掲げる事項を記載した書面により当該報告をすることができ ること。(附則第3条関係) イ 施行日前に交付した健康管理手帳について、施行日後も使用できること。(附則第4条関係) ウ 改正省令の施行の際現に改正省令による改正前の省令(以下「旧省令」という。)の規定によりされ ている報告は、改正省令による改正後の省令の規定による報告とみなすこと。(附則第5条第1項関 係) エ 改正省令の施行の際現に存する、旧省令に定める様式による用紙は、合理的に必要と認められる範 囲内で、当分の間、必要な改訂をした上で、使用することができることとしたこと。(附則第5条第 2項関係) オ 改正省令の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によること。(附則第6 条関係) 第3 改正告示の要点 労働安全衛生規則第四十四条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成10年労働省告示第 88号)及び労働安全衛生規則第四十五条第三項において準用する同令第四十四条第二項の規定に基づき厚 生労働大臣が定める基準(平成22年厚生労働省告示第26号)について、血清クレアチニン検査の項目に係る 厚生労働大臣が定める基準を40歳未満の者とすること。 また、上記2つの告示及び労働安全衛生規則第四十五条の二第四項において準用する同令第四十四条第 二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成元年労働省告示第46号)について、喀痰検査の項目に 係る厚生労働大臣が定める基準については、改正省令による喀痰検査の削除に伴い削除すること。 第4 改正省令の細部事項 1 血清クレアチニン検査の追加(安衛則第43条から第45条の2まで関係) 改正省令により追加された血清クレアチニン検査については、長時間労働による発症リスクがある慢 性腎臓病を検査するものであること。健康診断個人票(様式第5号)に記載するeGFR(estimated Glomer ular Filtration Rate)(以下「eGFR」という。)の計算方法は同様式の備考欄に記載しているほか、 安衛則第52条において労働基準監督署長に報告することとしている血清クレアチニン検査の有所見者数 は、eGFRの値を用いて判断すること。 2 喀痰検査の削除(安衛則第44条から第45条の2まで関係) 喀痰検査の削除は、検討会報告書において、胸部エックス線検査の結果に基づき結核感染が疑われる 者については、結核蔓延を最小限に留めるため、健診機関での喀痰検査の実施を待たず、速やかに医療 機関の受診勧奨を行うことが適当であるとされたことを踏まえたものであるため、健診機関や事業者に おいては、胸部エックス線検査の結果を踏まえ、結核感染が疑われる者に対して医療機関への速やかな 受診勧奨を行うこと。 また、喀痰検査の結果については、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第3項に 規定する「要配慮個人情報」に該当するものであり、施行後は労働安全衛生法令に基づく健診項目では なくなるため、同法第20条第2項第1号に規定する「法令に基づく場合」に該当せず、事業者が労働者本 人の同意を得ずに収集できる情報ではなくなることから、喀痰検査の結果を取得する際は、あらかじめ 本人の同意を要する等、同法に基づく取り扱いが必要となることに留意すること。 3 肝機能検査の酵素名の変更(安衛則第43条、様式第5号、様式第8号及び様式第9号、有機則別表及び様 式第3号、特化則別表第3及び別表第4関係) 事業者や労働者自身が健康診断の結果を見て労働者の健康状態を把握できることが重要であり、肝機 能検査の酵素名の変更について、事業者や労働者が旧名称の方が理解しやすい等の状況がある場合につ いては、健診機関における事業者や労働者への健康診断の結果の通知について、必要に応じ、新名称と 旧名称を併記する等しても差し支えないこと。 第5 関係通達の一部改正等 1 関連通達の一部改正 記の第2の6の施行日において、平成29年8月4日付け基発0804第4号「定期健康診断等における診断項 目の取扱い等について」(以下、「旧通達」という。)を別添1のとおり改正し、「定期健康診断等にお ける血糖検査の取扱いについて」(令和2年12月23日付け基発1223第7号)、「定期健康診断等における 血中脂質検査の取扱いについて」(令和5年3月31日付け基発0331第12号)を廃止する。 なお、旧通達の別添についても、あわせて廃止する。 また、記の第2の6の施行日において、令和元年7月12日付け基発0712第2号・雇均発0712第2号「「働 き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について」 の一部改正について」を別添2のとおり改正する。 2 肝機能検査の酵素名の変更について 第5の1のほか、これまでに発出した通達のうち、肝機能検査の酵素名については、次表のとおり読み 替えること。
| 読み替え後 | 読み替え前 |
|---|---|
| AST | GOT |
| ALT | GPT |
| γ-GT | γ-GTP |
| アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ | 血清グルタミツクオキサロアセチツクトランスアミナーゼ |
| アラニンアミノトランスフェラーゼ | 血清グルタミツクピルビツクトランスアミナーゼ |
| ガンマグルタミルトランスフェラーゼ | 血清ガンマ−グルタミルトランスペプチダーゼ |
| ガンマ−グルタミルトランスペプチダーゼ |
別添1(PDF:649KB) 別添2
(PDF:456KB)